汲み上げた水も体温を越えるほど熱を帯びる晩夏
墓石の前にどすんと座り、親父にひとつタバコを手向けて
自分もひとつ咥えながら出てきた言葉をぽつぽつ溢してゆく
ひとしきり話終える頃には、一本吸い終える
磨かれた墓石に自身の姿が
より幼く
しょんぼり映るのを笑う
親父はネモフィラが好きだった
7月20日に、春の花を供える事は難しい
ネモフィラとカスミ草のプリザーブドフラワーを贈る
墓前には持っていけない、お盆に贈るよ
ただ歳ばかりとってしまったでな
背中に張り付いたトンビが、落とした肩とうなだれ丸まった背をグッと寄せる
整備もバイクの乗り方も下手くそだけど
工具を握ると親父を感じる。
三年経ったなぁ
タバコ、旨かったかい?